1.猫(ネコ)を象徴として解読する場合の素材
【聖書関連】
不思議にほぼなし (中世の魔女はなぜか犬ではなく猫を従える)
【エジプト関連】
ネコの女神バステト
ネコのミイラ
【北欧神話】
豊穣の女神フレイアの戦車を引くのは猫
【日本文学】
源氏物語 若菜(紫式部)
吾輩は猫である(夏目漱石)
その他
2.ネコのシンボルとしての考察
シンボルとしてのネコのイメージは、動物としての猫の持つ「気ままさ」をポジティブに見るのか、ネガティブに見るのかによって変ってくるでしょう。一般にイヌのイメージが「忠実・従順」であるのに対比してネコのイメージは「自由・気まま」であることが多いようです。
気ままさという性質は、マイナスに見れば「怠惰」になりますし、プラスに見れば「自由」になります。
聖書の物語の舞台である中近東は、猫がいないエリアというわけでもありません。が、聖書神話には不思議と「猫」がでてきません。これは、エジプトが「にゃんにゃん王国だった」というのが理由ではないかと推測できます。
猫は古代エジプト人に非常に愛されていました。
ユダヤ人の先祖たちは、
1.かつて、エジプトで虐げられていた
2.モーセに導かれて、エジプトを脱出した
3.途中、十戒を授かった
4.約束の地、乳と蜜の流れる地、カナンへとたどり着いた
という建国神話を持っています。(出エジプト記)
この文脈の中では、エジプトは完全に「悪役」です。なので、古代のエジプト人に非常に愛されていた動物である「猫」は聖書神話にはほぼ登場しないのかもしれません。キリスト教文化の中でネコは悪役を背負わされることがおおいようで、教会から敵視される存在である魔女の使い魔は黒猫であることが一般的なようです。
エジプト神話では、猫は女神バステト(愛や豊穣を司る)の象徴であり、女神に捧げるためだったのか、エジプトでは猫のミイラもたくさん出土しています。
日本史では源氏物語の中で、猫はストーリーを進める重要な役割を果たしています。平安時代から猫はペットとして存在していた可能性が高いといえます。
明治以降で見ても身近な動物だけあって、夏目漱石の「吾輩は猫である」の小説をはじめ、あちこちに登場してきます。魔女の宅急便やクロネコヤマトやドラえもん(たぬきではなく猫型ロボット)などを連想する人も少なくないでしょう。
猫の性質としてネズミを捕るというものがありますが、この点では人間にとって益獣です。東アジアには、招き猫という「福を招く存在としての猫」というものが存在します。また、西洋の船乗りの世界では船に猫を載せるという習慣が20世紀ごろまではあり、猫は海の上ではとても歓迎されていたようです。(ship’s cat)
北欧神話の女神フレイヤは美人でセクシーな豊穣の女神ですが、彼女の戦車(馬車的な乗り物)は猫がひくとされていました。これも猫のもつネズミハンターとしての益をもたらす性質からきているのかもしれません。
3.猫とタロット
猫タロットは可愛いですが全部が猫なので考察対象外にして、ウェイト版とトート版で話を進行します。
トートタロットの火のクイーンはレオパルドというネコの親類の動物を従えています。これは、猫やライオンのもつ「自律性」を象徴するととってよいでしょう。ウェイト版(ライダー版)のワンドのクイーンも黒猫がいます。これも同じような「自由」「自律」といった解釈をすることができるでしょう。
女王という視点も加えて解釈すると、自国第一主義が重要になります。例えば「まず自分(と自分の関係する人達)を第一優先にするのが大事」ということです。「まず自分に与えよう」「何より自国の利益を最優先に」といった視点です。
遠くの他人に意識がいきすぎていないか、自分や自分のすぐ近くにいる人達をもっと大事にすべきではないか、という話でもあります。
4.ざっくりまとめ ネコの意味
ネコ=「自由」「個」「快楽」「豊穣」「夜」
※同様に人間にとって古い仲間であるイヌと対比しよう
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シンボル関連 参考文献など
キリスト教シンボル辞典(ミシェル・フイネ),ギリシャ神話シンボル辞典(ソニア・ダルトュ),図解古代エジプトシンボル事典(リチャード・H. ウィルキンソン) ,サインとシンボル(アドリアン・フルティガー),図像学入門(山本陽子),聖書,Wikipedia (English,日本語)etc
※この記事は、理解のステップとして面白いものをという編集方針を基本としています。(シンボルという言葉は極めて広い意味で使っています。)