ロータス(睡蓮・蓮) | イメージ シンボル 小辞典

1.ロータス(睡蓮・蓮)を象徴として解読する場合の素材

【聖書神話関連】
動物を描写するシーンで登場(ヨブ記40章21節)

 【エジプト】
現代のエジプト国花はロータス(水連)
ネフェルトゥム(ロータスの神)

【近代西洋美術】
モネ(睡蓮)

【インド】
シャカ

【日本史】
仏教美術・仏像・寺院庭園の定番中の定番

2.ロータス(睡蓮・蓮)のシンボルとしての考察

蓮と睡蓮(スイレン)というのはよく混同されますし、英語にするとどちらもロータス(Lotus)になりますが、植物の分類としては異なる種類になります。

植物的な見分け方としては

・睡蓮(水面近くに花が咲くものが多い。葉も水面に浮く。)(Nymphaea)
・蓮(水面から高く咲くものが多い。葉も高さがある。)(Nelumbo nucifera)

となります。(この記事のアイキャッチ写真だと、左がエジプトのスイレンで、右が京都のハスです)

とはいえ、聖なる花のイメージがあるのと、朝に開く性質を持つ花なのは、どちらも同じです。このため、種類としては異なるもののシンボルとしてはほぼ似たような「神聖性・再生」などのイメージになるようです。

「一蓮托生」という言葉がありますが、これは仏教で「死後、極楽の蓮の葉の上に生まれ変わる」という話があるところからきています。ここでは、蓮は「死と再生のシンボル」になっています。


キリスト教世界では、聖なる花としての役割は「百合」や「薔薇」の存在感が強く、ロータスはほとんど出てきません。エジプトの国花がロータスであることから推測できるように、聖書の物語の主な舞台である中近東エリアに縁のない花というわけではないのですが。

一方で、日本をはじめとする仏教の影響の強い文化圏だと「仏のシンボル」としての蓮の花が存在感が高くなります。写真検索サイトでZENと検索すると蓮の花がヒットしますが、これは「仏教」のイメージです。

有名な芥川作品の冒頭を少し読んでみましょう。

「ある日の事でございます。御釈迦様は極楽の蓮池のふちを、独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、そのまん中にある金色の蕊からは、何とも云えない好い匂が、絶間なくあたりへ溢れて居ります。極楽は丁度朝なのでございましょう。」(蜘蛛の糸 芥川龍之介)

極楽浄土のイメージとして「はす」が効果的に描写されています。

エジプトは国花がロータス(睡蓮)だけあって、古い時代の壁画や絵などもロータスがたくさん登場します。

エジプト神話にあって仏教説話であまり聞かない連想といえば、ロータス(睡蓮)と太陽の結びつきでしょうか。ロータスは早朝に咲くところからか、太陽と結びつけられていました。あとは、仏教的な蓮は現世を超越したイメージが似合いそうですが、エジプトのロータスはワインと一緒におかれていたりもしていました。同じ聖なる花でも「美酒が似合う花かどうか」という所は、東西のロータスのイメージの異なる部分になるでしょう。

仏教は基本的には禁酒をルールとする宗教なので、そのあたりは飲料水のかわりにワインを飲むこともあったヨーロッパ地域の宗教とはだいぶ違うところです。

3.ロータスとタロット

トート版にはたくさんのロータスが描かれます。トートはエジプト趣味な要素も多いので素直にとれば、トートのロータスは、基本的にはハス(仏教寺院にある)ではなくスイレン(エジプトなどにある)として解釈するのが正道でしょう。

例えば、カップのクイーンでしたら、トートの書には「イシス神のロータス」的な表記があるので、カードの絵を描いた人は「エジプト神話を意識したロータス(睡蓮)」を描いたと思われます。

ただ、トートタロットは陰陽マークが硬貨(コイン)のカードに登場したり、コートカードと易の卦を対応させる解説が作者によってつけられていたりします。東洋思想の要素もちょこちょこ入ってきているタロットということです。

なので、エジプトの世界を意識したであろう作者の意図は意図として、日本人が使う場合は、蓮の花のもつ仏教的なイメージをまじえて使っていくのはありだと私は思っています。
どちらから読んでも「神聖性」のシンボルになりますので。

ウェイト版はカップのエースに、モネの睡蓮よろしくロータスの池にみえるものがあります。これは、エジプトのロータス(水連)の聖なる花のイメージを継承していると思われます。

4.ざっくりまとめ

ロータス=「神聖性」「非世俗性」「再生(転生)」

※英語のlotus(ロータス)は、植物分類としては、睡蓮(Nymphaea)と蓮(Nelumbo nucifera)に分かれる。

 5.参考文献・参考サイト

古代エジプトシンボル辞典 (リチャード・H・ウィルキンソン) 原書房
聖書
WIKI

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