羊 | イメージ シンボル 私家版小辞典

1.羊を象徴として解読する場合の素材


【聖書関連】

たくさん(イエス=神の子羊)
イサクの犠牲(創世記 22章)
(犠牲獣としての羊)

【ギリシャ神話関連】
金の羊(イアソンとアルゴ船)
プリクソス

【日本関連】
飼育されていた形跡なし(明治以前)
たまに海外からやってくる珍獣・幻獣
江戸時代の絵、羊と山羊が区別されてない
十二支

2.羊のシンボルとしての考察

羊のイメージは「犠牲の羊」「神の子羊(聖書)」が思いつきやすいところでしょう。古代中国でも聖書の舞台となった地域でも、羊は上等なお肉で捧げものや贈り物の定番の位置を占めていました。

「羊頭狗肉」という慣用句がありますが、この言い回しは「上等な羊の肉の看板を出して、下等な犬の肉を売る」という見掛け倒しの批判です。こうした言い回しからも「羊=上等な食べ物」という考えが古代中国に存在していたことが推測できます。

イサクの犠牲のシーンにも「犠牲の羊」が登場

イサクの犠牲(燔祭)という有名な聖書のエピソードがあります。神から「息子イサクを生贄としてささげよ」と命じられたアブラハムが悩みつつも覚悟を決めて息子を殺そうとすると、息子を手にかけようとしたまさにその瞬間に天使に止めてもらえる、という「覚悟」を試される物語です。ここで、イサクの代わりの捧げものとしてささげられる動物も雄羊になります。

なお、「犠牲の羊」という現代日本語は「無実の人を犠牲にして利益を得よう」みたいな文脈で使われることもありますが、もともとの「犠牲として羊をささげる」という習慣は、単に「神への愛」です。

金の羊を求めて冒険の航海

ギリシャ神話に「金の羊の皮を求めて、勇者たちが冒険に行く」話があります。「王位を返してほしくば、金の羊の毛皮をコルキスの地から奪ってくるがよい」というミッションを与えられたイアソンは、ギリシャ中から勇者をあつめます。その中には、楽人のオルフェウスや力自慢のヘラクレス、カストルとポリュデウケス(=ポルックス)の双子、などもいました。

そして勇者たちと共にアルゴ船という船で、ギリシャからボスフォラス海峡を抜けて黒海沿岸のコルキスまで航海をします。コルキスではアイエテス王からいくつもの難題を示されますが、王女メディアの助けを得て切り抜け、無事に金の羊を奪い、ギリシャへと凱旋します。


羊と山羊の区別がなかった江戸~鎌倉の日本

中国大陸でも中近東(聖書の舞台)でもギリシャでもメジャーな生き物だった「羊」ですが、日本で羊という動物が広く飼育されることは明治以前にはなかったようです。

江戸時代の星曼荼羅(星座の曼荼羅)の絵には、「白羊宮(おひつじ座)」というタイトルで描かれている絵が「山羊にしか見えない絵」になっている例がいくつもあります。十二支にいる割には羊は「幻獣扱い」だったようです。十二神将には羊の頭をもつ像もあるのですが、鎌倉時代の仏像を見ても「山羊頭」になっていたりします。

もちろん羊と山羊は、馬とロバ、などと同様に親戚ではありますので見た目はよく似ています。大雑把にオスの角で区別するなら「巻いてる角」が羊で、「後ろへ伸びてる角」が山羊です。

3.タロットでの「羊」


トートタロットの「皇帝」には羊がいますが、これは星占い的なイメージでの白羊宮のシンボルと読めばよいでしょう。ウェイト版の「皇帝」も玉座に羊の飾りがありますが、これもトートと同様の解釈でよいでしょう。

興味深いことに、星占いやタロットの文脈だと「犠牲の羊」的なイメージはあまり出てこず、(アルゴ船の冒険の連想が土台にあるのか)強さや勇気のイメージのほうで読まれることが多いようです。

(「双魚宮」に対しては「イエスキリスト=魚」の伝統的連想からか、宗教的な意味付けがなされやすい)

4.まとめ「羊」のシンボルとしての意味

犠牲・神聖性・冒険・勇気 など

・山羊(聖書的な連想では悪魔に紐づけられる)と対比

・アルゴ船の冒険のイメージ

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キリスト教シンボル辞典(ミシェル・フイネ),ギリシャ神話シンボル辞典(ソニア・ダルトュ),図解古代エジプトシンボル事典(リチャード・H. ウィルキンソン) ,サインとシンボル(アドリアン・フルティガー),図像学入門(山本陽子),聖書,Wikipedia (English,日本語)etc

※この記事は、理解のステップとして面白いものをという編集方針を基本としています。(シンボルという言葉は極めて広い意味で使っています。)

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