双子(ふたご) | イメージ シンボル 私家版小辞典

シンボル小辞典

1.双子(ふたご)を象徴として解読する場合の素材

【聖書関連】
エサウとヤコブ (創世記)

【エジプト関連】
ヌートとゲブ(←双子で夫婦な神々)

【ギリシャ神話】
カストルとポリデウケス(ポルックス)の双子
アポロンとアルテミス(←双子な神々)

【日本文学】
ヤマトタケル兄弟は日本書紀では双子

 2.双子(ふたご)のシンボルとしての考察

双子のイメージは「不思議」です。ネガティブになれば「怪異」になりますし、ポジティブにとれば「神の恩寵」となります。

日本文学だと、ヤマトタケルとその兄は日本書紀のストーリーでは「双子」の設定になっています。この時、父親はあやしんで「臼に向かって叫んだ」ので、オオウスとオウス(後のヤマトタケル)という兄弟になったのだとか。


双子ということは必然的に兄弟(姉妹)ですので「兄弟ケンカ」というイメージもついてきます。


聖書の兄弟げんかの物語といえば、「カインとアベル」もですが、「エサウとヤコブ」の話が有名です。

エサウとヤコブは双子だったのですが、エサウは猿のように毛むくじゃらで、ヤコブは現代人のような肌でした。エサウは狩人をしていて、父親のイサクから愛されていたのですが、レンズ豆のスープと引き換えにヤコブに家督の権利を譲ってしまいます。

これは「狩猟民VS農耕民」とか「旧人VS新人」みたいな連想もしやすい兄弟ケンカな双子かもしれません。農耕民VS狩猟民は、言葉のイメージだけだと狩猟民のほうが強そうですが、農耕のほうが食料の大量生産と貯蔵がききますので農耕民は弱者ではないです。

ギリシャ神話のカストルとポリデウケス(ポルックス)は、仲良しの兄弟となります。ゼウスとレダの息子たちでアルゴ船の遠征にも参加しています。

 

この双子の出生は複雑で、

1.ゼウス(神・男性・白鳥に変身)×レダ(人・女性)が交わる
2.スパルタ王(人間・男性) × レダ(人・女性)が交わる


レダ(母親)から

1.ゼウス(神)との息子、ポリデウケス(神の血筋なので不死の力あり)が生まれる。
2.スパルタ王(人間)との息子、カストール(不死の力なし)が生まれる。


というストーリーになっています。

この伝説から推測すると、「1人の父親から2人が同時に生まれる」というのは、古代ギリシャ人にとっては相当不思議なことだったのかもしれません。なので、双子は母親な1人でも父親は2人という設定になっているのかも。

景行天皇も日本書紀では双子の皇子が生まれたら「???」となっていましたので、双子出産を不思議がるのは地域を問わない古代世界の常識だったのかもしれません。

3.ざっくりまとめ 双子の意味

双子=「不思議」「異常」「神性」「兄弟」

※昔は「双子が生まれること」は普通ではないことだったようです

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シンボル関連 参考文献など

キリスト教シンボル辞典(ミシェル・フイネ),ギリシャ神話シンボル辞典(ソニア・ダルトュ),図解古代エジプトシンボル事典(リチャード・H. ウィルキンソン) ,サインとシンボル(アドリアン・フルティガー),図像学入門(山本陽子),聖書,Wikipedia (English,日本語)etc

※この記事は、理解のステップとして面白いものをという編集方針を基本としています。(シンボルという言葉は極めて広い意味で使っています。)

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。一般論や常識に違和感がある方歓迎。

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