「全ての男女は星である」
こんな詩的なことをいった一人の英国人魔術師がいました。
日本に遊びにくると江の島で弁財天を見て感動し、日本かぶれになって出家しそうにもなったらしいという都市伝説も残っています。でも幸か不幸かヨーロッパに戻り、オカルト三昧の一生を送りました。この人が、小泉八雲のように日本に帰化しなかったおかげか、死後に彼の作品であるトートタロットという名作タロットが世に送り出されました。
英国人魔術師の名はアレイスター・クロウリーといいます。日本のファンタジー作品にも時々登場する魔術師です。「とある魔術のインデックス」で黒幕として登場しているのなどが有名所でしょうか。ファンタジー小説などで「西洋の魔術師」を登場させるとなると、マーリンやファウストなどと並んでよく使われるキャラクターです。英国版の安倍晴明と思っておけば、当たらずも遠からずでしょう。
このクロウリーの名言が
Every man and every woman is a star. / すべての男女は星である。
です。
意味の解説をすると、全ての人は星のように光り輝く存在である。しかし、本来の輝く魂の周りを黒いメッキでおおってしまっている。それは生まれた後の環境や教育などの悪い影響によるもので、変な黒いメッキを全部とりはらってしまえば、全ての人は星のように輝かしい存在なのだ。といったような意味です。
これを、「全ての男女は星」と抽象的にまとめるセンスは、詩人としていい線をいっていると思います。もしアレイスターが日本に帰化していたら、タロットは作らなかったかもしれませんが、詩人としてはいい詩人になっていたかもしれません。
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[写真 www.lucnix.be]