万物には周期がある

エッセイ

よく知られた経験智に「歴史は繰り返す」というものがあります。物事は右にいったり左にいったりするものだということです。

日本人は昔からこうした考え方になじんでいました。下記は平家物語の冒頭ですが、覚えていますか?

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、

沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす

おごれる人も久しからず、ただ春の世の夢のごとし

たけき者も遂には滅びぬ、ひとえに風の前の塵に同じ

この意味ですが、花は咲いたら枯れるものですし、栄えた政権もいつかは滅びるという、「全ては移り変わる(無常)」ということをあらわしています。全ては移り変わるというのは、栄えたら滅びる、虐げられたら復活する、という風に全ての出来事には周期があるということです。

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物事にはサイクルや周期があるという視点は色んなジャンルで使えます。

経済では好景気と不景気が循環するとされます。

商品のサイクルなどもそうです。新製品が世の中に出てくる時、売れ始めた時期、飽和した時期、退場する時期、というのがあります。

例えばウォークマンというのは出た当時はライフスタイルを革命するすごい商品でしたが、現代ではiPodのようなデジタルなプレーヤーに立位置を奪われています。同じように、iPodもそのうち未知のものが出てきたらその立位置を奪われることでしょう。そしてまた新しい時代が繰り返すわけです。

iPadに代表されるタブレットも、現代では主流となりつつありますが、時間がたてばまた新しいタイプのパソコンが出てくることでしょう。めがねに投影するようなSF的なものが主流になっていくかもしれません。

美容の世界でもそうで、細い眉が流行ったら次は太い眉が流行っています。10年ごとくらいで芸能人の写真を眺めてみると流行の変化というものを分かりやすく観察できると思います。ただ、面白いのが細い眉と太い眉が交互に流行りますが、昔の細い眉と今の細い眉はやっぱり少し違うのです。

全ての出来事には、右にふれたら左にふれる左にふれたら右にふれるという、周期やリズムが働いています。占いの類いが理論的にはものすごくいい加減でも非科学的でも、それなりに当たる理由の一つは実はこの法則に基づいているからなのです。これを少し難しく言うと

「陰極まれば陽に転ず、陽極まれば陰に転ずる。」

となります。

季節の変化でいうなら、寒いのも極限までいくと今度は暖かくなっていくし、暑いのも極限までいくと今度は涼しくなっていく、という意味です。月も欠けたら満ちるし、満ちたら欠けます。海の汐も常に満ちたり引いたりしています。

季節に限らず世の中の出来事全てに何事にもこれと似たことが言えるというのが「万物には周期がある」ということです。万物には四季があり、周期があるのです。

宝くじの番号は予想できませんが、ビジネスや政治経済や運の流れのようなものなら、この視点を使うとだんだん予測ができるようになっていきます。

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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