ストーリー構造の話の応用例ですが、実は過去世リーディングという精神世界なジャンルでは物語セラピーと名乗らずとも応用されています。
例えば、ダイエットがテーマで「食べたくないのについ食べすぎてしまう」といった相談内容だったとします。ここに退行催眠なりセラピーなり占いなり、何らかの方法を使って呼び出してきた前世の物語として
「(前世の貴方は)中世フランスのとある修道院の院長。ワインや薬草酒なども造っていて、とてもグルメだった。食べる・飲む、はやりたい放題にできたのでたくさんたくさん食べる傾向があった。ワインと薬草酒の製造で大いに名声を得るも、飲みすぎと食べ過ぎがたたって糖尿病で死んだ。」
みたいな相談者の物語がでてきたとしましょう。
そうすると、こういう話を聞いた相談者の頭の中では、『過去世で「たくさん食べる=楽しいこと」という刷り込みが行われてしまったから、ついなにかあるとたくさん食べて幸せを感じようとしてしまうのだろう。』という推測が働きます。別世界の話と現実の自分との間に橋をかけようとする心理が働くわけです。
そして、過去世の物語だと、自分のことを言われていると思っても100%自分のこととしては聞かないので、客観的に耳に入りやすいのです。さらに、理由のない不合理な感情が(過去世という)理由のある感情に変わることによって、感情の受容とコントロールがやりやすくなってしまい、結果として「意志に反する食べ過ぎ」という行動へのコントロールがやりやすくなるわけです。
つまり
「(前世という)たとえ話を通して、現在の自分の行動や思考のパターンを認識し、認識することで必要に応じてパターンを手放せるようになる」
という構造になっています。この構造は、ストーリーのセラピー・コンサルティングなどへの応用の一般的な事例となります。たとえ話というシンボルを通して物事の構造の理解に導く、という仕組みになっているのです。ストレートに言われると反発することでも、抽象化された他人の話として語られると妙に納得してしまったりする部分を持っているのが人間心理の面白いところです。
なお、過去世自体は「正しい証明、正しくない証明、存在する証明、存在しない証明」が全て不可能です。この件に関しては、正しいかどうかは全く問題ではなく「相談者の問題解決や個人的成長などに役立つかどうか」といったところだけが問われます。
なのでセッションをする側の人と、受ける側の人が合意できる手続きを使って出してくればよい話です。
占い師や巫女さんが便利なのはこういう場合に堂々と過去世を霊視できることですが、別に霊能力という特殊フィルターに頼らなくても同じような効果のある寓話を作り出す方法は色々とあります。