宇宙戦艦ヤマトと神功皇后伝説

物語構造

アニメと神話、今回はヤマトと神功皇后伝説を比べてみます。

神功皇后というのは八幡様のご祭神のうちの一柱で、古事記の世界のジャンヌ・ダルク的な戦う美女の代表格です。ヤマトで言えばスターシャとデスラー を併せ持つ、古代君と雪さんをあわせもつような存在です。伝説では、神託によって軍を率いて朝鮮半島の新羅に遠征し、半島の諸国を従えて凱旋します。

ヤマトは謎の異星人ガミラスの遊星爆弾によって滅亡の危機にある地球を救うため、イスカンダルのスターシャの元へいって放射能除去装置をもらって帰ってくるという宇宙戦艦として復活したヤマトの物語です。(行って帰るパターンの典型、ギリシャ神話だとアルゴ船の話に構造が似ているので英語版アニメはヤマトがアルゴになってたりします。)

では共通点です。

1.外部世界からのメッセージから始まる旅立ち
(スターシャからのメッセージ  / 住吉三神からのメッセージ )

2.異世界との往復が行われる
(地球⇔イスカンダル / 日本⇔朝鮮半島)

3.出発前は異常事態がおきている
(地球は遊星爆弾で滅亡寸前 / 天皇が神の呪いで死ぬ。)

4.帰ってきたら世界が新しくなる
(放射線で汚れた地球が綺麗になる / 新世代の王朝ができる)

5.主人公格の人間が大切な人を失っている
(古代君の兄、沖田艦長の家族 / 神功皇后の夫である仲哀天皇の死)

6.目標を達成して帰ってくる直前にも試練がある
(地球への帰り道でのデスラーの襲撃 / 日本に帰還した後も戦闘は続く)

7.帰って来てから子供ができる(笑)
(航海中は出産しないのです。)

神功皇后の場合は既に妊娠していたので呪術的な方法で出産を遅らせて
戦いに臨みます。森雪(ヤマト)の場合は単純に帰ってきてから出産します。
艦内で既にやることをやっていたのかどうかは明確には描かれません。
(実写版映画ではラブシーンありでしたが・・・)

大きな共通点としては、「危機が起きている」という前提があることです。

ヤマトの地球は滅亡寸前の危機にあり、若い主人公の古代君の兄はガミラス(侵略者)との戦いで死んでいます。主人公には十分な旅立ちの動機があるのです。ここから自分の人生に引きつけて考えるなら、コンプレックスなり嫌な状況なり、そうしたものは「新世界への旅立ちの動機」として十分に役に立つエネルギーなので大いに活用すべしということです。不満タラタラの人ほど喜んでいいのです。後から考えるとそのエネルギーの向ける方向さえ間違えなければ、強い不満や強い悲しみというのはかえって物事を突破するためのエネルギーとして活用できます。

もう一つ「帰ってくる」という所に注目して日常に引きつけて考えてみると、書籍を読んだりセミナーを受講したりして「新しい気づきという宝」を得たら、必ず日常世界に戻ってきて宝をシェアしなくてはいけないということです。また、帰還の途中というのは何らかの試練が待ち受けているというのは現実でもそうです。登山は帰り道が危険であるとよく言われますがそれと同じです。

そこを突破して宝を普段の世界に持ち帰ってはじめて物語が完結するいとう意識は持っていると役に立つと思います。

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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