家業なんか継がない! 親に反抗する若者

エッセイ

家が自営だったり職人だったりすると、お約束パターンの一つがこれです。若者が親の決めた職業を拒否するというパターンです。

漫画・アニメから引用すると

親  伝統芸能の役者
子供 役者なんかやだ! 俺はパイロットになる!!

親  警視総監
子供 暴走族のヘッド

みたいな設定です。

日本神話からさがすと

イザナギ(親)  (スサノオよお前は)大海原を支配せよ!
スサノオ(子)   俺はいやだ!かあちゃんの国にいくんだ! 

というのが、日本最初の、このパターンでの家業(?)に反抗する若者でしょう。

なお、日本書紀には最初からスサノオが根の国(かあちゃんの国)に行けと命じられて根の国に行くパターンも載っています。ただ、反抗という感情ドラマを見せてくれたほうが物語としては断然面白いです。この辺り、記録書的な要素の強い日本書紀(同じ神話で複数のパターンを記録)と物語性を重視した古事記の編集方針の違いが出ています。

スサノオの場合は、自分から家出するのではなく髭がすごく長く伸びるまで泣いていて親のほうから追放されてしまいます。このあたり、古事記神話の若かりし頃のスサノオはちょっとダメ人間的で親近感がわくところです。

このパターンを少しひねると、親の仕事を継ぎたくても継げなくて、どこかでそれを引きずる、というパターンもあります。

源氏物語の光君は、皇子として生まれますが天皇(親の職業)にはなれず、臣籍降下させられます。光君の場合は、臣籍降下はしたもののわりと好き放題にできたので、人生後半では結局は藤原道長のように天皇より好きなことをできそうな立場になっています。

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