最初はお約束のライダー(ウェイト)から入ったけど、もっと色々見てみたいといった人のための紹介コーナーです。
ここでは、78枚の組み合わせで4つのスートの小アルカナ56枚と22枚の大アルカナの構成のものをタロットと分類します。さらに、3パターンに「トート・ライダー(ウェイト)・マルセイユ」と3つに様式を分けています。
1.トートタロット系
トート系からは2つを紹介します。
Sun and Moon tarot (サン・アンド・ムーン・タロット)
絵柄的にはトートとライダー(ウェイト)の双方からうまく要素を抽出して新しい絵にしている感じですが、コートカードの配列や小アルカナのキーワードなどを見ると構造としてはトート側に感じられたのでトート系に分類しました。
絵がとにかくカワイイので「タロットは絵が怖いから・・・」と敬遠していた人にもおすすめ。13番は通常Deathですが、「death-rebirth(死・再生)」と書いてあって絵柄もフェニクス的(不死鳥)になっていて、とにかく「怖くないタロット」になっています。
それでいて「毒抜きしすぎて、ノンアルコールのお酒みたい」にはなっていないのがこのタロットの絵の非常に優れているところです。一般的に「柔らかい絵」を使うと、その分だけ「毒が抜けすぎてお子様ランチになってしまう」ということがよくあるのですが、これは大人も楽しめる食べ応えのある絵本です。
ライダー(ウェイト)から入ったけどトートにもちょっと興味がでてきたという場合にも、トートタロットから入ったけどライダー(ウェイト)も少しやっておきたいという場合にも、どちらの用途にもよいと思います。
しいて難を言うなら小アルカナで「数」の表現が絵によっては非常に薄くなっていることです。数秘術ベースで読む場合にはやや使いにくいかもしれません。ただ、ライダー(ウェイト)と同じで絵のみでも読みやすいということでもあります。小アルカナのキーワードはトートと同様についています。
Liber T(TAROT OF STARS ETERNAL)
スターズ・エターナル・タロット (ライバア T)
大アルカナはトートの絵柄をほぼほぼ同じ構図でソフトなタッチの絵にアレンジされています。小アルカナはアレンジというよりは、だいぶ別のイラストになっています。
オリジナルと比べた場合、大アルカナの絵は情報量が減って柔らかくなっていて、小アルカナのイラストは情報量が増えて主張が多くなっているのが特徴です。もともとのトートタロットの特徴の1つである「小アルカナにも全部キーワード付き」というところは消えていますが、字が消えて絵が増えてるので情報量としては問題ないバランスなのかもしれません。
2.ライダーウェイト系
ライダー(ウェイト)版の様式を採用しているものはたくさんありますがこれも2つだけ。
インナーチャイルドカード
ウェイト版と似た構造でかわいい絵になっています。おとぎ話やファンタジーな世界が好きなら手に取ってみる価値はあると思います。
大アルカナは「あかずきんちゃん」みたいなどこかで聞いたことがるおとぎ語を連想させる作りになっているので、見た目のかわいらしさに反して深く読める仕組みになっています。「愚者の旅・英雄の旅(ヒーローズジャーニー)・ジョーゼフ・キャンベル・ユング」などと聞いてワクワクする人にも使いやすかもしれません。物語をモチーフにしたタロットなので。
ヘルメティック
「魔術・秘密結社」などと聞いて好奇心を刺激される向きにおすすめです。いかにも「あやしい」感じのモノクロイラストと、情報量多めなところにワクワクできる可能性があります。
モノトーンのタロットは意外に珍しいので、色がついてない絵のほうが想像力が刺激されるというクリエイティブな人にもいいと思います。
コートカードは、ナイト・クイーン・キング・プリンセス、ですが、ナイト上位で読むトートタロットと同じ構造に見えます。中身的にトート系に近い気もするのですが、「正義のカードに11番の番号が当てられている」という理由でこの記事ではライダー(ウェイト)系で分類しています。
3.マルセイユ系
こちらも2つだけ。古い版を参考にアーティストがアレンジしているものを紹介しておきます。
CBD
定番的な印象。
mamanmiyukiタロット
優しい雰囲気。
他にもGrimaud(グリモー)・Conver(コンヴァー)、など色々とあります。
(映画監督&タロット研究家のハドロフスキ-がフィリップ・カモワンと組んで復刻したカモワン・タロットも濃いファンが少なくないようです。)
4.上の3つ以外の古典
ヴィスコンティ・スフォルツァ版
ミラノ(北イタリア)などの貴族の館でプレイングカード(遊戯や賭博などのカード)として使われていたであろうものの復刻。タロットの歴史という話になるとほぼいつも登場する作品です。手書きの時代の作品ならではの美しさがあります。イタリアのルネサンス時代が好きな人にもおすすめ。
日本語圏では「タロット=占い・魔術」のイメージが強いですが、中世ヨーロッパのタロットは「ルネサンス時代は貴族の遊び→そののち庶民も遊ぶゲーム」として広まっています。
「神秘の世界への扉」としてのタロットだけでなく、「ゲームや遊び」としてのタロットにも触れてみるとタロットのイメージは広がりやすくなるでしょう。
なお、現代ではタロットの用途はかなり多様化していて、「ゲーム・占い・神秘」と大きく3種の用途もしくは、「ゲーム・占い・神秘・心理」と大きく4種の用途があるのが特徴かもしれません。
5.この記事での分類の定義
トート系
1.コートカードが、騎士(or騎乗した王)、女王、王子、王女、
2.審判(天使の絵)はAeonになっている
3.正義(調整)=8番 力(欲望)=11番
マルセイユ系
1.正義=8番 力=11番
2.古風な木版画テイストのレトロな絵
3.小アルカナはトランプ的に数が中心。
ライダー(ウェイト)系
1.コートカードが、王、女王、騎士、小姓、のタイプ
2.正義=11番 力=8番
3.小アルカナはイラスト中心。
余談
カードキャプターさくらというアニメには「クロウ・カード」というカワイイカードが登場します。
マンガとタロットといえば、ユリイカ 2021年12月臨時増刊号には萩尾望都先生の描き下ろしカードが子供向け雑誌の巻末付録的なノリでついていました。かわいいタロット絵を眺めて楽しみたい向きにはおすすめです。