The High Priestess | 高位の女司祭のシンボル ライダーウェイトタロット(RWS)

Symbols on The High Priestess

手に巻物(TORA)、胸元の十字、イシスの冠(円と角)、背景のヴェール、ヴェールの模様としてのヤシとザクロ、黒と白の対の柱、足元の月,青いローブ

1.手に巻物(TORA)

聖なる書物、知恵、戒律、TORA(ユダヤ教の聖なる書、原義は書かれたもの)

2.胸元の十字

信仰(キリスト教)、聖職者(女教皇ヨハンナの伝承など)

3.イシスの冠(円と角)

女神性、魔術性、神秘と魔術(古代エジプト)

4.背景のヴェール

聖と俗を隔てる、境界線

5.ヤシとザクロ

ザクロ、生と死、冥界の食べもの(ギリシャ神話
ヤシ、祝福や勝利、キリストのエルサレム入場シーン(ヨハネ伝12章)

6.黒と白の対の柱

知恵、魔法、祈り、上昇と下降、光と闇、JとB(”Jachin”と”Boaz)、ソロモン王の神殿の柱(列王記7章)

7.足元の月

慈愛、月をふむ女性は聖母マリアの絵によく用いられる表現(黙示録12章)

8.青いローブ

慈愛、青は聖母マリアの衣装によく描かれる色(西洋絵画の慣例)

コメント

青い衣に足元の月にと聖母マリアを暗示しているように見える表現に、冠はエジプト神話的なものが入っているというエジプト×聖書という状態です。この辺は、日本の寺社がインド的だったり中華的だったり日本的だったりいろいろ総合した状態と似ています。

日本の文化は色んなものを輸入して取り込んできていろいろごった煮状態だといった言説があります。ただ、「いろいろごった煮」になるのは日本の特殊事例というわけでも実はありません。キリスト教自体も先行する他の思想(例えばギリシャ哲学)を取り込んでいる部分もあります。

中世以降のキリスト教は神の存在証明というものを話題にすることがあります。

クリスチャンではない層からすると問いの立て方としては不思議ですが、

「神は無限である。人間は有限の知性しか持っていないが神を知っている。ということは人間は神から存在を教えたもらったのだろう。なぜなら有限の人間の側から無限の神を認識することは不可能だからだ。」

みたいなことを真面目に考えるというのは、理性と信仰のバランスを徹底的に追及するという意味では興味深い活動だと思います。

一般の人から見たら「なぜそのテーマ設定??」というような話と知的に格闘するという伝統があることは、現代の科学技術のベースが仏教世界でもイスラム世界でもなくキリスト教世界で発展した原因の1つと呼べるかもしれません。

信じるというと「無条件に何かを受け入れる」というイメージを持つ人もいるかもしれません。ただ「理解や推論によって信じる」という部分も実は重要なのではないでしょうか。


nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

関連記事

特集記事

TOP