一般にHierophantという単語はタロットの文脈だと教皇と訳されることが多いです。ウェイト版の絵は確かにローマの教皇そのものに見えます。ただ、実は英語でローマ教皇という場合、通常はPope(ポウプ、ラテン語ではPapa、意味はまんまパパ(親父)です)という単語のほうが一般的です。
Hierophantの英語的な意味
Hierophantという単語を英英辞典をひくと、だいたいこんなことが書いてあります。
An ancient Greek priest who interpreted sacred mysteries, especially the priest of the Eleusinian mysteries.
http://www.thefreedictionary.com/hierophant より引用
この辞書では古代ギリシャの神官とかエレウシスの秘儀とか書いてあります。http://ejje.weblio.jp/content/hierophant の英和をひいても「(古代ギリシャの)神官」と出ています。
要するに、Hierophantの言葉そのもののイメージとしては古代ギリシャのイメージが強そうな言葉であることが推測できます。
Hierophantは実は教皇ではない説
で、疑問に思ってウェイトの解説本のPictorial Key to tarot の最初の方のHierophantのところを読んでみたら「このカードはもともとはローマ教皇じゃなかったとおもうよ 」的なフレーズがあってワードのセレクトに納得しました。
” I think ,however, that in its primitive form this card did not represent the Roman Pontiff .”
The Pictorial Key to the Tarot ( A. E. Waite ) 出版社: Dover Publications; New版 (2005/6/10)
ウェイト版やトート版より古い時代からあるマルセイユ版タロットは La pape でそのまま「教皇」です。ウェイトがこれをローマ教皇っぽくない単語にタイトル変更したのはちゃんと意味があったようです。
なお、クロウリーのトートタロットはローマ教皇からはほぼほぼ完全に離れていて、トートのHierohpantはどこかオリエンタルな司祭になっています。