今回は心理的な視点で、カルト教団や軍事独裁国家などで用いられる洗脳の仕組みについての解説します。
基本的な仕組みとしては
1.恐怖心と罪の意識を植え付ける
2.恐怖心と罪の意識を利用して、従順な奴隷として教育する。
となります。
これをもう少しアレンジした方法としては
1.死の恐怖を感じさせる
2.優しくする
3.罪悪感を与える
4.新しい価値観を与える
という方法もあります。(これは中国共産党が捕虜に対して使った洗脳教育の手口。ちなみに洗脳の語源は中国共産党に由来します。)
ここで洗脳のキーになるのは「罪の意識」と「恐怖」です。恐怖と罪の意識を与え、そこから救済する鍵として新しい支配者への服従を説くのです。まず病気のウイルスを与え、その後で治療薬を与えるようなものです。
これは、GHQが日本を占領した時にも行われています。
1.死の恐怖を与える
(例えば、原子力爆弾で数十万人を殺傷するなど、徹底して恐怖を与える。)2.実際に占領する段になると、左手で財産を奪いながら右手で食糧を与える。
(占領経費を負担させる一方で食料などを与える)3.「日本の支配者階級が悪者だった」的な宣伝をして「国民は騙されていただけだ」と
一般大衆を免罪する (君たちは悪くない、被害者なんだ、と肯定する)4.古い価値観を破壊しつつ、民主化と称して占領軍による新しい価値観を植え付ける教育をする。(GHQへの批判は禁止、武道や伝統芸能も禁止・・、その一方で民主化教育を行う。)
やってることの本質は、カルト教団が行う洗脳とたいして変わりません。アメリカは、日本を占領した時はこうした方法を使って成功しました。現在でも「日本はアメリカの51番目の州」というブラックジョークがささやかれるほどです。
こうした事例は特殊なので、普段こんな目に会うことはないと思うかもしれません。死の恐怖を利用した洗脳はそうそう行えるものではないので不安になる必要はありません。ただ、注意すべきは「罪悪感を持つこと」が「洗脳や奴隷化に利用される」ということです。これは通常の状況下でも行えてしまうのです。
「神を怖れることは智慧の始まり」と書いているのは聖書ですが、「罪悪感は洗脳の始まり」です。
ブラック企業(劣悪な労働環境で人材を使い捨てで働かせる企業)の経営者が「会社をやめることへの罪悪感や恐怖感」や「理不尽な環境に文句を言うことへの罪悪感」を植え付けようとするのも似たような理由です。とにかく安く使役できる「都合がよい奴隷」が欲しいからにほかなりません。非常に残念ですが、零細企業に限らず、大企業にもブラック企業的体質の会社は少なくありません。ブラック企業の場合はとにかくどうでもいい仕事を大量に与えることで「思考と感覚を麻痺させる」というのもよく行われるようです。
「○○はいけないこと」という罪悪感の中で、必要がないものはどんどん捨てていきましょう。そうでないと「罪悪感によって支配される」という奴隷につながるストーリーに参加してしまうことになります。許される範囲は本人が思っているよりずっと広いのです。