日本の神話(古事記)において占いで神意を問うという話はいくつか登場します。
「神託を無視した天皇に祟る」ような「聞いたからには無視すんじゃねー!」と怒れる神が描かれるシーンもあれば、「占いで新しい情報を得るというより、背中押して欲しいだけだよね」というシーンもあります。
神話の冒頭において、イザナギ・イザナミの二柱の神は、日本の神々の父母として多くの神々を産み、国土を産みます。ところで、最初からうまくいくわけではなく最初は失敗するのです。
これにはちゃんと理由があります。
実はイザナギ(男神)は「男から声をかけて交わって子供を産もう」と考えていました。
ところが、1回目はイザナミ(女神)のほうが先に声をかけてしまいます。そして、イザナギは「本当は男から声をかけようと思ってたのだけど・・・、まあいいや」と言って後悔の気持を引きずったままで、男女の交わりをします。
でやってみたら「骨なし・皮なし」なヒルコという欠陥品の子供が生まれてしまいます。
そこで悩んでフトマニという昔の占いで天の神様に聞いてみたら「男から声をかけてやりなおせ」という情報をもらうわけです。その後で、その通りにやり直したら多くの神々や日本の国土の島々が生まれた。これが古事記の国産み・神産みの神話です。
注目してほしいのは、神意を占って得た「男から声をかける」という情報はもともとイザナギは分かっていたものだということです。ただ、「分かっちゃいるけどできなかった」わけです。
それが神様に相談したら「お前が思っていた通りにやるのがよいのだ!」と気付かせてくれたわけです。
神話にこういうエピソードがあるということは、「背中を押すだけ」というアドバイスにもそれはそれで大事な価値があるということです。
また占いで出てくる情報というのは、「本人ができないこと」や「本人が知らないこと」ではなく、「知ってるけどやってなかったことや、盲点になっていたこと」であることが多いですし、それでよいのです。
全く新しい情報を求めるというよりは「盲点に気がつく」みたいな使い方をするほうが日常的な占いとの付き合い方としてはいいと思います。例えば、すごく目新しい秘密の恋愛ノウハウとかビジネスノウハウなんてものは世の中にはないですし、ノウハウなんてものは1000円~3000円くらいの本を10冊も買えばもれなくなんでも載ってますから。
占いの機能っていくつかあるけど、「本当に思った通りにやってますか?」という心のセルフチェック機能は一番大きいものの一つなのです。