荒野で修行する隠者には、世間の中にいる人が見えなくなっているものが見えている可能性があります。学校や会社の中にいると見えないことが、外に出たとたんに見えるといったことはよくあります。
地球の住人が月に行くと重力が少ないので軽くなるといった話があります。当たり前になっている負荷というのは、見えなくなりやすいものです。この記事では日常に潜んでいる「見えない負荷」について考察しようと思います。
見えない負荷の例1 税
例えば、税金1つとっても「自分達が生きるための労働、王様や領主のための労働」が明確に分かりやすかった昔に比べると、現代ではこうした違いが分かりにくくなっているという意見があります。
現代は「収入の半分くらいが税金や社会保険料などとしておさめられる→国や自治体の資金に→一部は自分の町のために、一部は国全体のために、一部は年金などに・・・・」という具合に複雑な仕組みになっているので「自分の納めたお金が具体的にどう使われていくのか?」は謎に包まれる部分が増えているわけです。
消費税だけとりあげても、消費者視点だけでみると「いつの間にか納税する仕組み」になっているので負荷感が消えやすいです。
ビールやお酒にかかる酒税も似たような構造です。価格内に税金が最初からはいっているので買う人視点だと「いつの間にか負担している」という仕組みになっています。例えば、令和2年現在だと、ビールが352円とすると158.1円くらい税金(酒税・消費税)なのですが、税率を意識してビールを買う人は少数派ではないかと思います。
※ビールの数値は財務省のホームページよりの引用
見えない負荷の例2 食べ物
お酒やお菓子などの嗜好品が身体にかける負荷というのも無意識になりがちです。お酒を飲み過ぎると身体の負荷が高くなりすぎて病気の原因になりやすいと言われていますが、毎日飲んでいると「負荷」が見えにくくなりやすいようです。食べ過ぎて体重が増えすぎて健康に悪影響というのもありがちですが、経験的に意図せずに体重が増えてしまう場合はいつの間にか太ってしまうといったことが多いように感じます。
糖質制限をしたら健康になったという例があったとしたら、その人は糖質が過剰で見えない負荷になっていた可能性が高いです。
見えない負荷の例3 生活習慣
例えば毎日パソコンの前に座って作業をする必要がある場合、「座って画面をずっと見える」ということを毎日することになります。デスクワークは立ち仕事と違って体力を使わなそうなイメージがありますが、座りっぱなしで同じ姿勢をずっとキープというのはそれはそれで身体に負荷をかける作業です。
デスクワークの仕事で腰痛や肩こりで悩む人がいるということは「座ってパソコンで仕事」という習慣が、身体に色んな負荷をかけているということだと思います。
見えない負荷の怖さは、当事者には見えないこと
人間関係が見えない負荷になっているような場合に「あわない人とは距離をとれ」ができれば一番いいのですが、負荷が自覚されてないと距離をとることができません。
見えない負荷は、背負っている当事者には見えなくなりやすいという性質があります。当事者に見えなくなっている重荷に光をあてることは、第三者のアドバイスなりコーチなりカウンセリングなりの仕事としては重要なところになるでしょう。