思考は現実化する が日本語として最悪な理由

「思考が現実化する」と言い切って本を売るのと
「このツボさえ買えば幸せになる」と言い切ってツボを売るのと
「競馬で年収1千万円」と言い切って予想情報を売るのと

言葉の構造としては全く同じです。

一部の人にしか当てはまらないことを、全ての人に共通する話として言い切ることで成立するコピーだということです。

「思考が現実する」という言葉は、「無駄なことを全く考えない。目的を設定したら、そこに向かって機械のように進める」という偉人レベルの人間だけに適用できる話です。たいていの凡人は、いらんことをたくさん考えてしまいます。

なので「思考は現実化する」という信条を凡人が本気でインストールすると、マイナスの思考が現実化するのではという不安に無意識に本気でおびえることになります。だから、この言葉は日本語として最悪なのです。

救われる話もしておくと、妄想の大半が現実化しないのと同じように、不安の大半は現実化しません。

空中から千両箱を出そうとしてもできないのと同じように、不安のほとんどは現実になりません。

これを理解せずに、思考は現実化するという発想を思考のベースに入れると、

「不安は現実化する」

という妄想を爆発的に抱えるリスクがあります。

現代日本語の世界には、結婚式の「忌言葉」のような「言葉は現実化する」という言霊発想がものすごく中途半端に残存しています。この世界で「思考は現実化する」という言葉を使うのは意外と高リスクなのです。「悪い言葉は現実になる」という妄想が社会習慣として残っているので、思考だけでなく無駄な妄想も現実化するのではという不安を活性化させるからです。

なお、古代社会においての「言葉は現実化する」という言霊発想は、特定の意志をもって発した言(コト)は現実の事(コト)になるという話であって、日常の言葉がなんでもかんでも現実化するという幻想小説ではありません。そこまで非実用的な設定にしたらまともな日常会話ができないのは、古代も現代も同じだからです。呪術的な発想を使う時は、日常生活とは綺麗に区別しなくてはいけません。

最後に現実的な話をすると

思考→行動計画→実験と失敗と改善の繰り返し→成功

というのが実際の「思考は現実化する」の話であって、

思考→現実化

は一般的にはありえません。

特殊な天才のストーリーは面白いものですが、それを自分に適用しようとしてうまくいかなかった時は、とりあえず諦めて少し別のシナリオを捜してください。

新聞や書籍やブログなど、エンターテイメントとして語られる成功ストーリーは120%演出されます。そうしないと現実問題として読んでもらえないからです。「正しい方向性でコツコツ努力して成功しました」とかだと、夢や希望として消費しにくいからです。

ただ、目的は自分自身の私らしい成功や幸せであって、「特定の成功者と同じシナリオでの成功」ではないはずです。

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