【名言系かぐや姫】嫌なものは拒否してよい

「嫌だ」という気持に素直になることはとても大事です。一度は「拒否」することで本当は気になる場合は「受け入れる準備」をすることができます。実際にいらない場合はすっきり縁を切ることが出来ます。

あらすじ

美しく成長したかぐや姫のもとには、多くの人達がやってきましたが、なかなか諦めなかったのは五人の貴公子たちでした。

「一人は石作皇子、一人は車持皇子(くらもちのみこ)、一人は右大臣阿倍御主人(あべのみうし)、一人は大納言大伴御行(おおとものみゆき)、一人は中納言石上麿呂(いそかみのまろ)」

中納言・大納言・左大臣・皇族・皇族

と求婚されますが、現代になおすなら

事務次官・国務大臣・首相・皇族・皇太子

あたりから求婚されるのと似たようなものです。昔の宮廷の序列を言うと「天皇・皇族→太政大臣→左大臣→右大臣→大納言→中納言」なので。

あとから天皇も求婚しにきますので、身分の高い人達ほぼ全員から求婚されるようなイメージです。

よみとき

ご存知のとおり、男性陣は結果として全員ふられるわけですが、考えてみれば姫はすごい根性です。大統領や大富豪からプロポーズされても全員拒否するのと同じような話なわけですから。姫が地上の人間と結婚できない理由は 「月に帰らなくてはいけないから」ですが、なにか理由があるなら別にだれでもかれでも結婚をする必要性はないと思います。

「王子様に幸せにしてもらう」という棚ボタなシンデレラストーリーより、「自分の進路は自分で決めている」という気合い十分なかぐや姫ストーリーのほうが、これからの女性には役に立つのではとも思います。なぜなら、女子の場合は男性よりも「何かを拒否したい気持ちに素直になること」への心理的な抵抗感が強いことがあるからです。そこに関しては「かぐや姫的な話を読む。語る。」というのは大きな意味があると思います。語るというのは 「嫌な男をふったらスッキリした」的な「断ることの成功体験」を思い出して言葉にしてみるということです。

歴史豆知識

以下は余談ですが、この五人のうち三人は歴史上のモデルがしっかり設定されている可能性が高いので軽く紹介しておきます。

▽大納言 大伴御行(おおとものみゆき)
同じ名前の貴族で、壬申の乱で天武天皇側で戦った武官的な人間がいます。万葉集には「大君は 神にしませば 赤駒の 腹這ふ田居(たい)を 都と成しつ」という和歌が収録されています。

大納言は会社でいえば専務くらいのイメージです。大伴(おととも)は近衛師団長的な軍事を司る古代豪族。「海ゆかば~(帝国海軍の歌として有名)」は万葉集にある大伴家持の歌から。実は名字が大伴の貴族という時点で「武官系キャラ(体育会系)」というイメージが昔の読者には共有されていた確率が高いです。

「龍の首の珠」をとってこいと言われる人です。

▽中納言 石上麿呂(いそかみのまろ)
天武天皇の時代に同じ名前の大臣がいて、史実のこの貴族がモデルではないかと言われています。史実では大宝元年(AD702)に中納言に、和銅元年(AD708)に左大臣に就任しています。竹取物語の世界では中納言(会社でいえば常務くらいのイメージ)に設定されています。。

こちらは文官キャラ(文化系キャラ)で「燕の子安貝」をとってこいと言われる人です。

▽右大臣 阿倍御主人(あべのみうし)
持統・文武の時代(7世紀後半)に活躍した同じ名前の右大臣(今でいう副首相的な地位)がいて、モデルと考えられています。阿部氏は奈良時代は将軍や政治家を出す豪族でしたが、平安時代以降は陰陽師を出すようになります。今では「アベ」という名の歴史上の人というと安倍晴明が有名かもしれませんが、かぐや姫に出てくる阿部氏は陰陽師ではなく政治家のイメージでおねがいします (笑)

「火鼠の裘(かわごろも)」をもってこいと言われる人です。

▽石作皇子(いしつくりのみこ)と車持皇子(くらもちのみこ)について

石作皇子(「仏の御石の鉢」をもってこいと言われる皇子)と車持皇子(「蓬莱の玉の枝」を持ってこいと言われる皇子)のモデルは有力な人は見つかっていません。

なお、昔の人の名前は「職業名がそのまま名前」という例がわりとあります

竹取翁自体がこのルールでのネーミングで、竹を取る仕事をしているから竹取のじいさんというネーミングなわけです。

余談ですが、心屋仁之助という心理関係の先生がいますが、この先生も「職業を名前にする」というネーミングをしています。ビジネスネームつける時はそういう発想もありです。アロマなマッサージだったら、ほぐし屋かおり とか、数秘霊感占いなら、神託屋数太郎とか。ストーリー的なモノの見方が身につくと、こうしたネーミングは「やればできる子」になれます。

 

※参考 竹取物語 (原文)

世界の男(をのこ)、貴なるも賤しきも、「いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがな。」と、音に聞きめでて惑ふ。

その傍(あたり)の垣にも家のとにも居(を)る人だに、容易(たはやす)く見るまじきものを、夜は安きいもねず、闇の夜に出でても穴を抉(くじ)り、こゝかしこより覗き垣間見惑ひあへり。さる時よりなんよばひとはいひける。

人の物ともせぬ處に惑ひありけども、何の効(しるし)あるべくも見えず。家の人どもに物をだに言はんとていひかくれども、ことゝもせず。傍を離れぬ公達、夜を明し日を暮す人多かり。愚なる人は、「益(やう)なき歩行(ありき)はよしなかりけり。」とて、來ずなりにけり。

その中に猶いひけるは、色好といはるゝかぎり五人、思ひ止む時なく夜晝來けり。その名一人は石作皇子、一人は車持(くらもち)皇子、一人は右大臣阿倍御主人(みうし)、一人は大納言大伴御行、一人は中納言石上(いそかみ)麿呂、たゞこの人々なりけり。世の中に多かる人をだに、少しもかたちよしと聞きては、見まほしうする人々なりければ、かぐや姫を見まほしうして、物も食はず思ひつゝ、かの家に行きてたたずみありきけれども、かひあるべくもあらず。

文を書きてやれども、返事もせず、わび歌など書きて遣れども、かへしもせず。「かひなし。」と思へども、十一月(しもつき)十二月のふりこほり、六月の照りはたゝくにもさはらず來けり。

(wikisource より)

※來=来るの古い字
※晝=昼の古い字
※貴(あて)なるもいやしきも=身分の高い人も低い人もの意味。
※よばひ=誤解を恐れずに言えば共同体のルールの範囲内で行われるフリーセックス。なお、夜のぞくから夜這いというのは作者一流の親父ギャグ。
※公達(きんだち=高貴な人達
※いかで●●しがな=なんとかして●●したい
※歩行(ありき)=移動の意味 (※当時は、徒歩移動以外の移動も”ありく”と言いました。馬で訪問しても車で訪問しても「歩く」です)
※夜と日→夜と昼のこと。日は太陽の出ている時間帯の意味、24時間の意味ではない。
※見まほし→まほしは●●したいなので、見たいの意味

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