お金の持つ二つの側面

エッセイ

お金というのは物語の世界でいえば「魔力を持ったアイテム」や「宝の道具」などに例えることができます。というのは、お金そのものは単なる道具なのですが、同時に主人公の感情や行動力の増幅装置として作用するからです。「世界を移動するためのツール」と見てみるのも面白いでしょう。浦島太郎の亀や、羽衣伝説の羽衣みたいなものです。ただ、亀や羽衣と違うのはお金の場合は主人公の移動先を決めるのはあくまでも本人であるという点です。

さて、現実世界のお金には二つの側面があります。

1.交換ツール・モノとしてのお金

まず確認しておきたいのは、お金というのは「ただの紙(モノ)」に
発行元(国・中央銀行)が「信用(価値)」を与えたツールであるということです。
だから「何にでも交換できる便利なもの。夢を叶える魔法の杖」
の役割を果たしてくれるのです。

お米が豊作で世の中にお米が余れば、お米の値段は下がります。
お米が不作で世の中にお米が不足すれば、お米の値段は上がります。

これは経済の基本的な原理の一つですが、実は「お金(紙幣・硬貨)」も同じです。

世の中にお金(紙幣・硬貨)の流通量が増えれば、お金の価値は下がります。
世の中にお金(紙幣・硬貨)の流通量が減れば、お金の価値が上がります。

お金も「モノ」と同じで、増えれば価値が下がり減れば価値が上がります。また、大きな商品券のようなものなので

お金で買えない商品・サービスなどが増えれば、お金の価値は下がります。
お金で買える商品・サービスなどが増えれば、お金の価値は上がります。

例えば、災害などでモノが極端に不足するとお金で食糧が買えなくなることもあります。こういう場合、お金の価値は下がります。

お金が他の物と違うのは、貯めておけること。持ち運びが簡単であること、などもあります。
土地は持ち歩けませんが、1億円は持ち歩けます。(小切手なりカードなり
を使えばモノとしての現金を持ち歩く必要はありません。)

2.エネルギーとしてのお金

お金はしばしば、感情と共に循環しています。

*苦しみの代償として入るお金 (我慢や苦痛の代償として稼いだお金など)
*嫌な支払いのために使うお金 (払いたくないと感じた電気料金など)
*喜びと共に入ってくるお金 (好きなことで稼いだお金など)
*楽しみや感謝と共に出入りするお金(好きなものを買う時など)
*複雑な感情と共に降ってくるお金 (遺産相続や宝くじ当選的なお金など)

多くの場合、お金の動きには感情が伴っています。これがエネルギーとして見たお金です。

例えば、すごくストレスがたまる仕事で稼いだお金というのは、ストレスという負の感情エネルギーが乗っているので、気をつけていないと「ストレス解消」のためだけで消えてしまう傾向があります。

よく、お金をさして綺麗とか汚いとか言う人がいますが、お金そのものは中立です。

恨みや怒りや罪悪感のような感情と共に使ったり稼いだりすれば「汚いお金」になります。
喜びや楽しみや感謝のような感情と共に使ったり稼いだりすれば「綺麗なお金」になります。

大事なのは、「入手方法が汚くても、綺麗に使えば綺麗なお金になる」
「入手方法が綺麗でも、汚く使えば汚いお金になる」という視点です。

残念ながら、(一生分の生活費があればたぶんやらない)仕事でお金を稼いでいる人のほうが、
好きなことで楽しく自由にお金を稼いでいる人より数としては多いのが現実でしょう。

そういう状況の時ほど、「綺麗に使うこと。自分の将来に豊かさをもたらす
ように意図して使うこと」が大切になります。

綺麗とか汚いという言葉がピンとこなければ単純に理性で考えて「常に”自分にとっての価値>支払う金額”となるようにする」
と常に意図していればよいでしょう。価値というのは人によって異なるので「自分にとっての」というのが大事な所です。

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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