ベルバラとアマテラス 戦う美女たち

エッセイ

「戦う美女」というモチーフは、男性にも女性にも一定の人気をもつキャラクターです。男装の麗人や女装の美少年というのは、独特の魅力があります。ジャンヌダルク・巴御前・神功皇后、平成25年の大河ドラマにもなった明治期の山本八重、戦う美女という言葉にはどこか魅力的な響きがあります。エバンゲリオンのアスカやレイの魅力の一つもこの辺りにあります。

神話においては、日本神話の主神であるアマテラスさまが戦う女性キャラクターの元祖です。(明確に女性と描いているのは日本書紀で、古事記のほうは性別特定が明確にできる要素がないと言う事も可なのですが、その話題は今回は脇におきます)
天岩戸神話の前段階、スサノオが高天原に上ってきた時に、「私の国を奪いに来たのか?」と勘違いして、「何しにきやがった!!」と完全武装で出迎えています。このあと、誓約(うけい)という儀式が行われ、スサノオの潔白が証明されるのですがその話は長くなるので今回は省略します。

ベルバラのオスカルとアマテラスが少し違うのは、アマテラスは戦うために一時的に男装と武装をしているだけで、別に家を継ぐために女性から男性に変わる必要はないことです。ギリシア神話のゼウスのような主神の立場にありますので、女性でも男性でもどちらでもいけるのです。

ベルバラのオスカルの場合は、将軍の家系である家を継ぐため、軍人として男社会の中で頑張るために男装するという点があります。これはこれで「なんだかんだいって、まだまだ男性優位な世界の多い実社会で頑張る女性」の共感を得られる部分があったのだと思います。

ちなみに、逆パターンの女装の美少年ということでいくと、日本の物語での女装少年の元祖はヤマトタケルです。クマソ征伐に行った時に、美少女に化けてクマソタケルを暗殺しています。古事記から引用すると

「既に童女の姿になりて 女人(おみな)の中に交わりたちて その室(むろ)の中に入りましき」

というシーンです。美少女の姿をして美少女に混ざって家の中に入っていったという話です。

なお、21世紀に存在するような同性愛タブーというのが古代に存在したかどうかは非常に疑わしいです。江戸時代も室町時代も平安時代も男性同士の恋愛というのはありました。これは日本に限らず古代ギリシア等もそうで、男性同士の恋愛的な関係というのはありました。

なので、ヤマトタケルは美女としてではなく、女装の美少年としてクマソタケルの目をくらましたという視点のほうがリアリティがあるかもしれません。どんなに上手に男装や女装をしたところで、直接肉体的に触ってしまえば実際はどちらかというのはカンタンに分かってしまいますので。

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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