主人公の条件は「根拠のない自信」

エッセイ

根拠のある自信というのは、「東大卒TOEIC満点です」とか 「年いくら稼いでます」みたいに他人から見て分かりやすい具体的な根拠がある自信のことです。

こうした自信というのは非常に簡単に崩れます。東大卒ですという根拠は「東大での勉強は無意味だったかもしれない」と思ってしまったら崩れますし、「こんなに稼いでます」は売上が落ちたり稼げなくなったらその場で終わります。根拠のある自信というのは根拠があるゆえに「簡単に崩れるリスク」を常に背負っているのです。

物語の主人公は何の実績もない時も実績を出した後も変わらない「根拠のない自信」のようなものを持ち合わせていることが多いです。

神話から引用すると、オオクニヌシノミコト(出雲大社ご祭神)は、はじめお兄さんたちにいじめられて何度か殺されそうになりますが、試練をくぐりぬけて故郷に帰還すると、いじめっこ達をやっつけて王として出雲の国作りをはじめます。

このオオクニヌシは、実は弱いいじめられっ子の時代からお姫様に愛されます。そして、お姫様の助けを得て強い男に成長していくのです。普通に考えると何の取り柄もない弱い子は愛される資格がないような気もしますが、実はそんなことはないのです。

こうした主人公から教えられるのは、「根拠のある自信なんかなくても自信がないまま行動してしまえ。意外に結果が出てしまうことがあるよ」という点にあります。

恋愛が一番分かりやすい例かと思いますが「ダメなんじゃないか」と思いながら自信がない人のままアタックしても案外「OK」だったりするものです。

では根拠のない自信とは何かということになりますが、これは究極的には「自分を許す。」ということにつながると思います。客観的な条件付けをせずに「自分は自分が一番かわいい」というホンネを素直に承認することでしょう。「かくあるべき」的なものをなるべく減らして「好きにしてよい。」という承認をすることや「裸一貫の自分に無条件に価値がある」と承認することが大切です。別の言葉で一言でいえば自愛の精神を持つことです。

マンガなどでも主人公と敵対者(悪役)の対立軸で物語が進むという構成は典型的なものですが、

主人公が敵対者からいわれる台詞の基本は「あんたバカ?」的なものです。

主人公というのは、特に物語初期では「根拠のない自信」しかもっていない事が多いので、他の登場人物から見たら「バカ」に見えるのですが、バカのほうが実は圧倒的に強いのです。

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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