主なタロットの種類: ライダー( ウェイト) vs. マルセイユ vs. トート

世界で有名なタロットカードからメジャーなものを3つ選んだ場合、ライダー( ウェイト)版 vs. マルセイユ版 vs. トート版の3種を上げることに異論を唱える専門家はほぼいないでしょう。今回はこの古典的なもの3つの主な違いを検証していこうと思います。

1.全体的な特徴

Marseille(マルセイユ版)

マルセイユ版は中世の版画のようなデザインを継承しているので「レトロ」な雰囲気を醸し出しています。実際には19世紀・20世紀に作られたデザインであっても、中世っぽい絵なのが特徴です。占いに限定せず、カードゲーム的な使い方にも適したデザイン。トランプと同様で「明確にこの人が最初の作者」というものが存在しないのも特徴です。

(他の版も同様ですがマルセイユ版という同じ様式で微妙に違った色んな種類のものが色んなメーカーから出ています。最初の1つにどれがいいかは感覚で選ぶのがよいと思います。)

Rider(ライダー(ウェイト)版)

ライダー(ウェイト)版は、秘密結社の黄金の暁団に在籍していたウェイトが作者でパメラ・コールマン・スミスによる物語テイストな絵がついています。マルセイユに比べると、「絵柄だけである程度までは読めること」やエリファス・レヴィ以降の「西洋の神秘学とタロットの連携」が組み込まれているのも特徴です。

(売上ランキングをつくるとおそらく1位なので売ってる店や勧める記事が多い)

Thoth (トート版)

トート版は、ウェイトと同じ黄金の暁団に在籍していたアレイスター・クロウリーが作者で、イラストはフリーダー・ハリス。こちらはイラスト自体にも「数秘術・錬金術・カバラ・占星術」などの要素がしっかり盛り込まれた芸術的なものになっており、易を利用していたクロウリーらしく東洋思想との相性もよいのが特徴です。

(アート性に加えて、上の2つが持つキリスト教的な要素がほぼ消えているのも特徴)

2.小アルカナ(56枚)のデザイン

分かりやすく違うのは小アルカナのデザインになります。

・トート:トランプのスート的な記号+イラスト+キーワード+数字
・ライダー:ストーリー性のあるイラスト+記号+数字
・マルセイユ:記号(+数字)

マルセイユ版の時代は「トランプのようにスートの記号のみが基本」だった小アルカナを、物語テイストがある絵に変換したのがライダー(ウェイト)の大きな特徴です。絵だけでもなんとなく読めなくもないというのがライダー版のイラストの利点です。

一方でトートタロットの特徴は小アルカナに「キーワード」がしっかり入っていることです。「CUP 2 Love」などと入っているので、キーワードを手がかりにして読むこともできます。英単語の意味を覚えれば「意味」を覚えなくてもよいのも利点です。

マルセイユ版はトランプ同様にカード自体にはスートとスートの数とレイアウト(キャラクターの目線を含む)しか情報がないので、「読み方を自分の中に持っていないと読めない」というのが特徴だと思います。カードに書かれている情報が少ないのは占う側にとっては実はメリットでもあります。

(たまにマルセイユな絵柄でヘブライ文字が大アルカナに書いてあるものも存在はします)

3.大アルカナの配列の違い

マルセイユ版はフランス語なのでそちらを、トートとライダー(ウェイト)は英語なのでそちらを書きます。

キーワードと配列の大きな違いはこの5つです。

トート マルセイユ  ライダー(ウェイト)
8.Adjustment  8. La Justice  11.Justice
11. Lust  11.Force  8 Strength
14. Art  14. Tempérance  14. Temperance
13.Death  13. 空欄  13.Death
20. Aeon 20.  Le Jugement 20. Judgement

・力(Lust/Strength)と正義(Adjustment/Justice)のカードの並び順の違い
・Lust(欲望)とStrength(力)、Adjustment(調整や均衡)とJustice(正義)の単語の違い
・Temperance(節制/節酒)かArt(技)かの単語の違い
・Death(死)の文字を書くか書かないかの違い
・Aeon(永劫)かJudement(審判)かの単語の違い

あとはとりあえずフランス語と英語の違いと思っておいてよいでしょう。

4.小アルカナのコートカードの配列の違い

マルセイユとトートで「騎士」の位置が違う点が注意点となります。騎士が一番パワフルそうだったらトートタロット系と思えばだいたい当たると思います。

トート マルセイユ  ライダー(ウェイト)
Knight / 騎士 Roy /王 King  /王
Queen / 女王 Reyne /女王 Queen /女王
Prince / 王子 Cavalier /騎士 Knight / 騎士
Princess / 王女 Valet /小姓 Page / 小姓

5.日本での人気順

統計はとっていませんがユーザーの数でいうと「ライダー(ウェイト)>マルセイユ>トート」だと思います。

作者のキャラから分析した場合、キリスト教神秘主義のウェイト博士のライダー版のほうが易を使うような東洋思想に近い位置にいるクロウリーのトート版より日本で人気が出た理由はよくわかりません。ただ、先にメジャーに流通したのはライダー版なので、事実上の「タロットといえばライダー(ウェイト)版」な地位を獲得できたという話ではないかと推測します。

歴史でいえばマルセイユ版のほうが古くからあるのですが、マルセイユ版の小アルカナが「ある程度は意味を覚えてないと使いにくいそう」なのに対して、ライダー(ウェイト)版の小アルカナは「絵を見るだけでもなんとなくわかりそう」なのもライダー(ウェイト)がシェア1位になった大きな理由の1つでしょう。

ただ、多くのタロットリーダーは複数のデッキを所有して使い分けることも多いので、ライダー(ウェイト)一択になることはなく、マルセイユやトートもそれなりに存在感があるのだと思います。

余談

日本史とトランプという視点でいうなら南蛮渡来のカードに基づいて作られた「うんすんカルタ」「天正カルタ」くらいまでさかのぼると戦国時代にカード占いがすでにあったかもしれないと想像することも可能です。(カルタ自体、ポルトガル語のカードを意味するCartaが語源)

Unsun Carta

うんすんカルタ Wikipediaより引用 Outlookxp氏による

マルセイユ版の戦国日本バージョンと言ってもいい風情です。こちらはゲームとしての使い方が現代までひっそりと残っています。中世ヨーロッパのタロットはゲームとして楽しまれていたと考えられていますので、このカルタは鉄砲伝来の時代にカードゲームとして渡来したものから発展したものと思われます。

うんすんはスートが5個あるのも興味深い所です。スートはドイツの方だとベルがスートに入ってるものもあるなど、ヨーロッパ各地でも地域差があったようです。トランプやタロットのスートが、現代の代表的なスートに変遷した過程などは想像してみると面白いかもしれません。

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nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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