手に入れると失う

物語構造

ギリシャ神話などには人間が火を手に入れる起源を描いたお話があります。

プロメテウス(prometheus/先見性という意味)という神が、まだ火を使うことを知らなかった人間たちのために太陽神の火を盗んできて人間に与えました。ところが、これに怒ったゼウスは、仕返しとして、パンドラという女性を創造し、プロメテウスの弟のエピメテウス(epimetheus/後から考えるという意味)のもとにつかわします。パンドラに夢中になったエピメテウスは兄の警告を無視して彼女と結婚します。結婚の時に神々は”決してあけてはならぬ”という警告つきで彼女に一つの箱を贈ります。

ある日とうとうその箱をあけてしまった、パンドラは、中から、憎しみ・恐れ・不安・病気など、それまで人間界にはなかったあらゆる災いのもとが飛び出してくるのを見ました。
あわてて、箱のふたをしめたのですが、中に残っていたのは希望だけだった。この時以来、人間界はさまざまな災難が生まれる世界になってしまいました。

これが、ギリシャ神話の火の起源のお話です。

解釈はいろいろありますが、

火という便利なものを手に入れたことで、いままで持っていなかった不安などの悪いものも受け取ることになってしまったというお話。

”何かを手に入れることで、何かを失う。”(交換)

というお話だと解釈することができます。

例えば、先を見ること(予測)をしようとしなければ、将来への不安などというものは生まれないわけです。遺産を手にしなければ、遺産相続で悩むようなこともないわけです。
その意味で、とてもおもしろい神話だと言えます。何かと引き換えで何かをなくした、というくくりでは「智恵と引き換えに楽園を追放された」というエデンの園の話とも、少し似ています。

日本神話でいうと、「美女だけを嫁にするという選択をしたために、人間は永遠の命を失った」という話が「交換」が行われてしまうタイプの物語となります。

 

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nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと寓話の研究家。作家 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」

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