成功哲学の欠陥

エッセイ

ちまたに溢れる成功哲学には、ある致命的な欠陥があります。「一部の気質の人にしか合わない」という欠陥ではありません。これはどのシステムを学んでも同じことで、相性問題はどれにでもあります。宗教的なものでも、古い仏教があう人もいればカトリックが合う人もいます。

 

成功哲学の欠陥というのは、「成功するために必要な理想の自分になる」というアプローチであるため

「成功すればするほど、苦しくなる」もしくは 「勉強すればするほど、苦しくなる」

というワナが組み込まれてしまうことが非常に多い点です。

本来はセルフイメージを上げて成功へのハードルを下げるための教えなのに、理想の自分と本来の自分のギャップが大きくなるせいで、逆にセルフイメージを下げてしまうわけです。実は、そこそこの小金持ちには「お金はもってるけど、精神状態は通院が必要なレベル」という人が少なくなくいらっしゃいます。これは「成功するために必要な自分になる」ことを目指して、「本来の自分自身である 」という目標がないがしろにされた結果です。

多くの人が成功哲学的なアプローチでスイッチが入らないのは、実は正常な感覚を保っている証拠なのです。

 

一方で、精神世界的なアプローチは、世俗的な成功ではなく

「本来の自分自身であること。そういう風にいられる環境を作ること」

を最優先するアプローチを行います。

 

こちらは王道なのですが、「本来の自分を認める」というのが「何もしなくてよい」のと同じという誤解をされがちという欠陥はもっています。「祈りさえすればあとは何もしなくてよい」というのが一番よい誤解の例で、「祈りと行動」はどちらも必要です。一番いいのは和魂洋才ではありませんが、「本来の自分である」を目指すアプローチを基本にして、補助技術として「理想の自分になるための技術」を取り入れていくことでしょう。

で は「本来の自分って何?」という話になりますが、「本来の自分」というのは「自分という枠を超えた存在」です。1人の人間の心の中には「お腹がすいたら食べ、眠くなったら寝る」という動物的な部分から「天地そのものである神々」と等しい神様的な部分まで、多用な要素が存在します。この全てが美しく調和している状態が「本来の自分で生きている状態」で、自分の中の諸要素が内戦状態なのが「本来の自分でない状態」です。

「本来の自分」でいるためのトレーニングとしては

「自分の胸に聞いてみる」 「ハラで動く」 「霊感(Inspiration)を得る」

などの非言語領域の感覚を、日常生活の中で地道に鍛えていくことが大切になります。単純化していえば「まずは自分が感じた通りにやってごらん。人は失敗から学んで成功するのだから小さな失敗を怖がらずに。」ということです。仏教的な言葉を借りてまとめると「それぞれの日常を生きながら悟りを目指すこと」が大切になります。

 

もうひとつ、体験学習以外での自己発見ツールとしてとても有効なのは、神話や歴史を学ぶことです。古代の物語と同じストーリー は、実は現代人の私達の心の中でも起きています。これを深く体感していくと全ての物語は無限の情報の宝庫となります。ヒストリーはHis Story ではなく My Story なのです。

 

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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