Symbols on The Devil
山羊の頭と蝙蝠の翼をもった悪魔、頭上の逆五芒星、松明(手に持った)、鎖(人間2人を縛る)、葡萄の尻尾を持った小悪魔女子、炎の尻尾を持った小悪魔男子、男女のペア
山羊の頭と蝙蝠の翼をもった悪魔
山羊:野獣性、本能
蝙蝠:夜の闇、地獄、悪魔
半人半獣の姿:二面性
逆五芒星
邪悪
松明
明らかにする、破壊
葡萄の尻尾の小悪魔女子
酩酊、セクシー、嫉妬
炎の尻尾の小悪魔男子
狂乱、ワイルド、傲慢
男女のペア
(禁断の木の実を食べて罪を犯した後の)アダムとイブ、原罪
コメント
西欧のキリスト教世界は「善神VS悪神」の二元論ではないので、悪魔も天使も唯一神の僕であるという世界観を持つことができます。つまり悪魔もまた唯一神に仕える忠実な僕ということです。
ドラクエのような古典的なRPGに例えるなら、多くの場合主人公である勇者には倒すべき魔王(世界の不当な支配者)が必要です。ゲームのクリエイター(神の視点)からすれば、魔王も勇者もどちらも自分の被造物であり必要な存在です。
ゲーム的に考えた場合、魔は人間を鍛錬する役目もおっていることになります。仏教的に考えても、「修行を邪魔しにくる悪魔」という存在はありますので、こうした鬼軍曹的な存在としての悪魔というのは東西共通かもしれません。
タロットの悪魔はキリスト教世界の悪魔だけでなく、牧神パン(ギリシャ神話)のイメージを継承しているとも言われています。この神は倒すべき邪悪な魔物ではないことに注意が必要です。
なお、作者ウェイトの本には「悪魔の胃あたりに水星の記号」とありますが実際の絵にはありません。これは画家の判断でカットされた部分だと推測しますが、結果として正しい判断だったと私は思います。
実際のRWSの悪魔の絵は、ウェイトが念頭に置いていたと思われるエリファス・レヴィの「メンデスのバフォメット」(バフォメットはテンプル騎士団が崇拝していた疑いをかけられた悪魔)からはかなり離れてシンプルな印象でまとまっているからです。
戦車のカードの絵もそうですが前の世代の作品から色々とそぎ落とされた結果、いい感じになった例だと思います。