役に立つセンス。役に立たなくなるスキル。

エッセイ

「アニメだけ見ていてもガンダムが作れるようにはならない。」的な発言をしたのはガンダムの監督ですが、どんなものにも「基礎センス」と「応用スキル」があります。

 
料理で例えると、「カルボナーラの作り方」といったレシピの知識は応用スキル。「野菜・卵・肉など、美味しい素材の選び方」は基礎センスとなります。もちろんレシピの知識が多いにこしたことはないですが、「美味しい材料の選び方」といった基礎センスがないままだと、百年練習しても美味しいものはできないでしょう。

ダンスであれば、「体の使い方」というセンスが基礎センスです。これがあれば、練習さえすればある程度のレベルまでは行けます。これがないと、どんなにやる気と元気があってもなかなか上達しません。

数秘術や陰陽道等の神秘系スキルを例にすると、「万物を少数の概念で分類する」という思考法がこれらのスキルの基礎にあります。「概念化のセンス」とでもいうべきこの基礎センスがないと、初中級レベル以上に進化することはありません。

 
料理とダンスと神秘学という3つのジャンルを出しましたが、こういう基礎センスって空気みたいなもので

「もともと持っている人は、当たり前すぎて意識していない。」
「もともと持っていない人は、自分が知らないことをなかなか自覚できない。」

のがやっかいな部分です。

 
こうした土台的な部分を人に伝えようとする時は、「答えを教えるのではなく、相手の内側から気付きを引き出す」という相手主体の体感的な方法に頼らざるをえません。センスに関しては、知識としての答えを一方通行で教えるだけでは伝わらないからです。学校教育や企業教育でありがちな「模範解答の暗記」にとどまっていると伝わりません。「自分で考える力」や「自分で感じる力 」を育てる必要があります。

科学技術が急速に発展したせいもあり、現代人は「基礎」をブラックボックスにしたままで、「応用技術」を使うことに慣れています。もちろん、TVを見る時にTVの仕組みを知る必要があるかというと全くありません。ただ、何でもそれで処理してしまうと、初心者レベル・(お客さんレベル)でずっと止まってしまうことになります。

 
学校のお勉強の大半は実生活での役に立つことはありません。三角関数(サイン・コサイン・・)というスキルが実生活で役に立つ人 は20人に1人くらいでしょう。こういうスキルというのは状況が変わればすぐに役に立たなくなるタイプのスキルです。ただし、「何か新しいことを勉強する」「新しいことを学び、法則性を見つけて応用する」といったスキルそのものは基礎センスなので一生モノです。こういうセンスはどのジャンルに行っても役に立つものとなります。

 
基礎センスは一度スイッチが入れば一生モノです。例えるなら生地から仕立てて孫の代まで受け継げる数十万円クラスの高級スーツや高級着物のようなものです。応用スキルは千円クラスのパーティー用のコスプレ衣装のようなもので、必要な時期だけ使ってダメになってきたらすぐに買い替える系のものです。スキルはすぐに役に立たなくなりますが、基礎センスを志向するようにすると本当の意味で「楽ができる」ようになっていきます。
 

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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