「自分が変われば世界は変わる」という幻想

この幻想は本当といえば本当です。私も何度となく実体感しています。対人関係、ことに恋愛などはこの発想が有効な事例は多い気がします。

ただ、この幻想はけっこうな毒薬になることもあります。

今日は七つの習慣などで言われる「インサイド・アウト」の発想、「100%自分原因説」的な発想のワナについて解説していきます。

一番の問題は 「強者の論理」として悪用されがちな論理だということです。

●奴隷的な環境で五体不満足で生まれました→自己責任です
●まったく理不尽なイジメを受けました→自己責任です
●月間600時間働かされて倒れました→自己責任です

要するに「自分の内側に原因がある」という発想は、「世の中やシステムの欠陥を、個人の責任」に転嫁する論理としても使えてしまうのです。

これは悪徳政治家や悪徳経営者にとっては非常に都合がよい論理です。システムの欠陥(=自分達の無能)を個人の欠陥のせいにできるからです。

竹槍でB29を落とせないのに、敵機を撃墜できないのは個人の根性がないせいということにして、指導者が責任逃れをできる論理として使えるのです。

つまり、インサイド・アウトや自分原因説というのは、ブラック企業の悪徳経営者や無能で無責任なリーダーにとって、ものすごく使い勝手がよい論理になるリスクを秘めているのです。

 

例えば、阪神淡路大震災・東日本大震災、自衛隊の現場の皆さんは本当に素晴らしいご活躍でした。が、政府の指導者層はリーダーとしてまっとうな対応をすることができませんでした。菅直人しかり村山富市しかり、まさにカスと呼ぶにふさわしい無能ぶりを存分に発揮しました。

ところで、彼らが無能だったのは彼らの個人的な能力の問題ではありません。

日本の法制度というのは「危機管理ができない」仕組みのままで非常に長い間放置されていたのです。首相が一人で頑張ったところでどうにもならないレベルでシステムがひどかったのです。

つまり法制度などのシステムの問題であって、首相に詰め腹を切らせれば終わる話ではないのです。

車に例えるなら、問題はエンジンの慢性的な故障であってドライバーの運転スキルでどうこうできる次元の問題ではなかったのです。

 

「なんでも自分の内側に原因がある」という発想は、外の世界のそのものが狂っている場合、かえって問題の発見を遅らせてしまうことがあります。

 

もちろん、失敗をなんでも人のせいにして自分は何もしないのは美しくありません。が、自分の内面ではなく外の世界のほうに原因があることもあります。そこの判断に失敗すると「不幸な世界に適合する報われない努力」を続けてしまいますので注意が必要です。

例えば、ブラック企業的な職場でいくら頑張っても報われることは決してありません。その手の職場で社会的に評価されるような職務経験はつめません。ただ、形だけでも特定の業務の経験値をつむことによって次の転職に利用するとか、少しひねった目的があればブラックな環境でも3ヶ月後の自分のために活かすことはできます。

もし、本気で「世の中は間違っている」と感じたら、堂々とそう認識していいのです。

多数派が常に正しいというのは、現代人が学校時代からすり込まれる間違った思い込みの中で最大のものです。

 

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