魔術や呪術の世界観についての基礎知識

エッセイ

『魔術や呪術といった世界の基礎知識を知るためには、どんな文献がよいでしょうか?』

この質問は、作家・デザイナーなどのクリエーター的な人がファンタジー的な要素のある作品を作る時に出てくる質問です。下手に歴史が好きだったりすると、調べ出すときりがないのであまり熱を入れずに取り組みたい調べものになります。このジャンルは、記録的なものはあっても綺麗にまとまった本はあまりなく、ある種の直観的な感覚がないとなかなか理解しにくい世界です。古事記を1ページ目から読んで、それからフレイザーを読んで、等と古典や民俗学的な分野から攻めていくと時間がいくらあっても足りなくなります。

ではどうするかというと、ここでは漫画から入る方法をお勧めします。以下の二つの作品は非常によく調べて作られているので、『呪術や魔術といった世界の世界観を感覚的に理解する』という意味で役立ちます。

1.漫画『陰陽師』
2.ライトノベル・アニメ 『とある魔術の禁書目録』

どちらも読んでいくうちに、魔術や呪術といった前近代的世界の基本的な世界観のようなものがなんとなく分かってくる作品です。

この二つを読んでから、新紀元社などからでている『錬金術』とか『陰陽師』などの軽めのファンタジー系の資料をあたり、足りない所は図書館でさらに詳しい資料をあたるようにすると創作に必要な知識を無理なく得ることができるでしょう。間違っても、いきなり分厚い専門書に行ってしまわないことです。だいたい意味不明な言葉の嵐の前に、めんどくさくなって読む気をなくしてしまうものですから。オカルト的なジャンルはジャンル全体での用語の統一というものがされていないので、辞書をひいてもやる気をなくす可能性大となります。

どのジャンルにも都合よく良質な漫画作品があることはありません。ただ、せっかく『漫画で分かる』的なものがある場合は、まずそれをさらっと体験してから次へ進むというのは、どのジャンルの調べものでもお勧めできる方法の一つです。古事記や源氏物語などにしても、『まず漫画で何回か読む』『次に現代語訳でとっつきやすそうなのを読む』『最後に必要に応じて原文に取り組む』、というのが古文攻略の王道ですが、これと同じです。

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。一般論や常識に違和感がある方歓迎。

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