飲み会やパーティー等で、男女で会費を分けることが行われることがあります。これが合理的か非合理か、公正(fair)かどうかという議論は、「なんでも市場原理で決めていいのか?」という問題につながる話題のように感じます。
例えば、合コン的なパーティーや男女の恋愛的な出会いを開催目的に含めているパーティー等においては
男性 1万円 女性 1000円
みたいな設定にするパーティーをたまに見かけます。こういう設定にすると、当然男性参加者は激減し、女性参加者が増えます。
恋愛的な出会いを目的としたパーティーなど、男性参加者の数が女性参加者に比べて圧倒的に多くなる可能性が高い状況においては、価格で調整を図るというのは有効な方法の一つです。これは、参加人数が集まらない方の会費を下げ、参加者が多い方の会費を上げて調整を図るという発想なので、状況によっては、女性1万円で男性無料、にする発想もありえます。なので男女差別等にはつながりません。
この発想の難点としては、会費に極端な差をつけると参加者の意識に大きな差ができてしまうことです。なのでここまで極端に差をつけることはあまりなく、多くても
男性 6000円 女性 3000円
と、せいぜい2倍程度の差におさえるパターンのほうがよく観察できます。
このあたりは市場原理で決まっているだけですが、いい悪いの判断は各自で行えばよいと思います。公的な性質のものではなく、「嫌なら行かない」という選択肢を誰もが持っているからです。
一般のパーティー・会合では、性別によって会費差をつける設定をする所はあまりないように思います。特に、公的な性格の行事を会費制で行う場合に、男女で会費差をつけるケースはほとんど見たことがありません。
会社内の会合などなら、「役員は大目に支払い、平社員は少なく支払い、アルバイト・パートはほぼ無料に近い額を払う」といった立場に応じた調整なら「立場に応じて負担を分け合う」という意味で正当性があります。月給10万円の人と月給100万円の人の負担金額が同じでは公平性を欠くという意見は万人に受け入れられやすい意見ですから。ただ、性別で負担に差をつけるというのは「男女平等」という価値観から考えてもあまり正当化のしようがないルールなので採用しないほうが無難です。例外としては、地域の慣例で男女差を付けるのが長年の伝統になっている場合などのみに限られるでしょう。
なお、プライベートな少人数の会合なら、性別で差をつける発想にも合理性はあります。というより、少人数でのプライベートな会合なら、参加者全員が納得さえすれば別にどんなルールを作っても問題にならないからです。こちらは別に性別に限らず、例えば「お酒を飲めない人と飲む人」等で会費を分ける等の微調整をするのもよいと思います。飲み会の不公平感でよく聞くものの一つは「酒量の多い人と酒を飲まない人の参加費が同じ(通常アルコールを入れると一気に単価が高くなる)」という割り勘の方式です。この方式が採用される理由は飲む人側の無粋ですので、気持ちだけでも調整すると不公平感がだいぶ減るかと思います。もしくは、「食事が(ある程度以上)美味しいお店で飲み放題プランにして会費を固定する」など、飲まなくても損をした気にならないセッティングをするかでしょう。