ポジティブ思考が失敗する理由

ライフスキル

いわゆるアメリカ型のポジティブ思考はあう人とあわない人が非常にはっきり分かれます。

うまくいっている人は続けて使えばいいですが、うまくいっていない場合は今すぐ諦めたほうがいいです。

というのは、アメリカ型のポジティブ思考は、大多数の日本人の人にはあわないからです。なので導入しようとして失敗しても全く恥ではありません。

失敗するにはちゃんと理由があって、アメリカ的な発想のベースには「プロテスタント(キリスト教)的な聖書的世界観」があり、日本人の多くにはこの感覚は共有されていないからです。

この世界観は 「来世?そんなものはあるわけがない。人生は1回きり。」というのを原則としています。また「原罪」という「人は生まれながらに罪深い」という独特の世界観も持っています。
もともと「人間はどうしようもないマイナスを持っている」という発想がプロテスタントの世界観にはあるのです。そこに、ポジティブ思考で「強いプラスの世界観」をかぶせるからバランスがとれるのです。

 

ところで多くの日本人は、口では「地獄?来世?天上界?そんなものあるわけがない」と言う人でもお盆になれば墓参りをし、正月になれば初詣をするわけで、中世以来の神道&仏教の世界観の強い影響下にいるわけです。

神道&仏教の世界観だと、輪廻転生という

「人生は何回もある。今回の人生がだめでも来世がある」

という世界観がベースにあります。来世を完全に明確に否定はしていないのが日本人の多数派です。(本気で来世を否定できるなら、葬式なんてもっと適当でいいはずです。)

 

また、日本の伝統的な発想に「原罪」というキリスト教的な世界観はありません。日本の伝統的な神話(記紀神話)に、「人間は神罰を受けて楽園を追放された」というパターンの話は入っていません。日本はもともと「この世はよいとこ。」みたいなポジティブ発想が強いのです。

なので、アメリカ型のポジティブ思考をそのまま輸入して接ぎ木すると

「ポジティブ×ポジティブで、ムダなハイテンションになってバランスが悪い」

ことになりやすいのです。
そうはいってもポジティブ思考が魅力的に感じる場合は、聖書やシェークスピアに親しみ、日常の半分を英語で生活するくらいの経験をしてみたほうがいいと思います。正規の統計をとったわけではありませんが、私の知る限りでアメリカ型のポジティブ思考で実際うまくいっている人は英語的素養が非常に高い傾向があります。

 

人間には、ポジティブ(陽)もあればネガティブ(陰)もあります。男性の中にも女性的な部分がありますし、女性の中にも男性的な部分があります。陰陽の片方しか使えないというのでは、人生が無駄に修行化してしまいます。

nakajima oumi

nakajima oumi

シンボルと精神世界の研究家。 「キレイはキタナイ、キタナイはキレイ」。日本文化と欧米文化は異なるからこそ面白い。

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