物語は物語として読めばよい

日本神話にはワニという海の生き物がでてきます。これを合理的に説明しようとすると「日本神話のワニはサメのことだ。なぜなら日本近海にワニ(クロコダイル)は生息していないから」という話になります。「ワニ=サメ説」を押す学者は学問の世界では多いです。

シュリーマンがトロイ戦争(ギリシャ神話)の伝説から実際にトロイ遺跡を発見したように、神話や伝説というのはなにかしらの歴史学的事実を反映していることはあります。だから、合理的に解釈は合理的な解釈で意味があります。

なんでもこの方式で解読していくと、例えばヤマタノオロチは洪水の象徴であり、スサノオによる大蛇退治の神話は治水工事の象徴ということになります。治水による開拓という事実が伝説化されたのが八岐大蛇神話という解読方式になります。

こうした解読はこうした解読で面白いです。ただ、これはあくまで現代人の世界観にあわせた解釈です。もともと神話は物語なのですから、別にワニ=クロコダイル としてもいいのです。八岐大蛇のようなドラゴン的なものががでてくる世界なのですから。私はワニ=瀧 と解読するのが好きです。

物語なのですから、なんでも合理的に読もうとする必要はありません。不合理なまま読んでもよいのです。神話や伝承というのはそういうものです。別に物語の読み方に決まりは何もないので好きに読めばよいと思います。象徴として解読したい時はそう読めばよいですし、素直に
物語で読みたい時はそう読めばよいのです。

あと、「事実は小説より奇なり」と言うように「神話・伝説は、事実の反映でも非合理に見えることがある」ということも覚えておくとよいでしょう。トロイを発掘したシュリーマンも、「伝説を本気にしてバカみたい」と散々にバカにされました。ただ、実際に遺跡がでてきて多くの人に驚かれました。

日本史のほうでも「日本書紀や古事記の記録なんてどうせいい加減だろう」と無駄に記紀の歴史書としての側面を否定していた人が「発掘で記紀の記述が事実である証拠が出てきて頭を下げることになった」という話はちょこちょこ転がっています。(例えば、古事記が奈良時代にできたのはウソだという主張がありました。しかし、昭和54年に編集者の太安万侶の墓が奈良県で実際に発見されたことでこの説は完全に消えました。)

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